8月1日、築地本願寺にて、第2回目のNGO非戦ネット公式イベント「NGOだからこそ非戦の声をあげる」を開催しました。
第1部は、前日にイラクから日本にきた日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)の職員で、イラク南部のバスラにある小児がん病院の院内学級で働くイブラヒム·モハンマドさんが、イラク人として日本の安保法制にまつわる動きに反対する考えを話しました。
イブラヒムさんは
「イラクには、2003年のイラク戦争で使用された劣化ウラン弾の影響と思われる白血病や小児がんで苦しむ子どもたちがいます。日本がアメリカと一緒にイラクを攻撃するようなことになったら、日本人だけでなく日本人と一緒に働くイラク人スタッフも狙われるようになる。今、日本は戦争をしない国として信頼されているのに、それを失うようなことは日本のためによくないと思う」と話し、イラク戦争後のイラクの混沌とした状況を紹介して、「イラク戦争は何だったの?」
と参加者に問いかけました。
第一部の司会をした佐藤真紀(JIM-NET事務局長)は、
「たとえばアメリカは、アメリカのために働いて身に危険が及ぶようなことになった現地の人たちは優先的に難民として受け入れるが、日本ではそのようなことがなく、日本のために働いてくれた人を守ることもできていない。法案の説明に首相は“友達”を例に出すが、誰が“友達”ですか?」
と話しました。
第2部では、冒頭に伊藤和子(ヒューマンライツ·ナウ事務局長)が、NGO非戦ネットの趣旨を説明し、参加人数を発表しました。
「NGO非戦ネットは、安全保障関連法案と日本を戦争ができる国にしようとする動きに反対する現場で国際協力や交流を行うNGOの有志が集う緩やかなネットワークです。8月1日現在、呼びかけ人が41人、賛同団体が44団体、賛同者295人(うちNGO職員・役員196人、NGO会員49人)が集まりました。NGOは小さなコミュニティで、スタッフも最小限でやっているところが多く、その中から196人が賛同しているのは、小さな数字ではありません」
続いて、12人の呼びかけ人が次々と問題提起の発言をしました。それぞれ活動する場所やその内容は違っていても、皆さんがお話された戦争の生み出す負の結果に大きな違いはなく、それがいかに現場の人々を苦しめているかを訴える言葉から、私たちが今の日本の動きを止めるのだという決意が伝わってきました。
第3部では、設立イベントで好評だった「若手NGO職員によるディスカッション」を、フォトジャーナリスト安田菜津紀さんの司会、パネリストにJIM-NETイラク担当の榎本彰子と日本国際ボランティアセンター(JVC)で南相馬事業担当の白川徹を迎えて行いました。
安田さんは、ヨルダンのシリア難民キャンプに通って取材を続けている経験を交えながらパネリストの二人の話を引き出しました。
榎本は学生時代に起こったイラク戦争がNGOに入ったきっかけになり、ジャーナリストをしていた白川もアフガニスタンで取材をしたことが今の活動につながっていると話しました。
白川は、大手メディアで報道されている情報だけでは不十分であり、NGOから発信する情報にももっと目を向けてほしいということ、榎本は自分が伝えることで理解者を増やすことができるので、その力を使ってもっと仲間を増やしていきたいと話しました。
安田さんは最近、小学生にシリアの話をしたときに戦争の前と後のシリアの写真を見せたら、「どうしてこういうきれいなところを壊しちゃうの?」と問われ、ハッとされたそうです。戦争にはいろいろな理由をつけることができるけれど、「どうして壊しちゃうの?」という質問にちゃんと答えられる戦争はあるでしょうか?
NGO非戦ネットは平和な世界を作るために他のいろいろな団体や動きと協力して進んでいくということを再確認して、イベントを終了しました。
当日呼びかけ人参加者
岩附由香(ACE代表)、中村絵乃(開発教育協会(DEAR)事務局長)、小松豊明(シャプラニール事務局長)、松本智量(アーユス仏教国際協力ネットワーク副理事長)、畑野研太郎(日本キリスト教海外医療協力会会長) 、甲斐田万智子(子ども権利センター代表理事)、大江浩(日本YMCA同盟 法人部門事務局長)、俣野尚子(日本YWCA会長)、原由利子(反差別国際運動事務局長)、丸谷士都子(地球の木理事長)
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